野鴨 -Vildanden-
2022/9/3 18:00(初日) 世田谷パブリックシアター
 レポ2(詳細レポA(二幕)) 最終更新日2022/10/16

2022/9/3 初日 詳細レポA二幕

リンク集

私の行った野鴨のレポのリンクです。
舞台の内容については、初日ベースの詳細レポ@、詳細レポAをご覧ください。他の日のレポは相違点や感想等です。

レポ12022/9/3 初日)詳細レポ@(一幕)、GOODS、会場の様子等
◆レポ2(2022/9/3 初日)詳細レポA(二幕)……このページです。
◆レポ3(2022/9/7夜、9/14夜、9/18東京千穐楽)感想と、東京の会場の様子、おまけ…未作成
◆レポ4(2022/9/24夜(前楽)、9/25(大千穐楽))感想と、兵庫会場の様子、兵庫観光レポ…未作成

(詳細レポ)
【二幕】
「2日目:エクダル家/夕方の客」

※パンフレットに場名等の記載が無いので、私が勝手につけたものです。
【二幕】
音楽が流れて、その日の夕方、撮影の客が帰った後のエクダル家。(撮影はギーナが一人でこなす)
ヘドヴィクがヤルマールの帰りを待っていると、ようやくヤルマールがグレーゲルスとの散歩を終えて帰宅。
しかし、ヘドヴィクを避けるヤルマール。
ギーナに「明日から真剣に働くつもりなんだ」って言う口だけヤルマール。
ヘドヴィクが翌日、自分の誕生日は一緒に過ごすって約束したのにって文句を言うと、「じゃあ、明後日からだ!明後日からなんでも自分でやっていくぞ!誰の手も借りないでやっていく!」って出来ないのに…。
ヘドヴィクが「じゃあ、野鴨は?あそこにいる動物達は?」って言うと、ヤルマールは「明日からあそこには入らない」って言うと、ヘドヴィクは「明日はあそこでお祝いするって」って言うと、やっぱり「じゃあ、それも明後日からだ。あんな忌々しい野鴨なんか首をひねってやりたいね!」って言うヤルマール。
泣きだすヘドヴィクに、ギーナは外の空気を吸ってきなさいって出掛けさせます。

ギーナと2人になったヤルマールは、ヴェルレ家からエクダル老人が貰ってる賃金がどのくらいなのか聞きます。「え!!!」とか、突然大きな声で女を威嚇するクズ男のヤルマール。
ホントに大きな声を出せば女が黙ると思ってるクズ男って今も沢山いる。
ギーナがエクダル老人のお小遣いと食費を賄えるくらいは貰ってるって話すと、ヤルマールはそんなこと聞いたことが無いって文句を。
ギーナはヤルマールが自分の父の面倒は自分が一切看るって口だけで言ってるからプライドを曲げないように言わなかっただけなのに。

ギーナは「ご主人様にとってはなんてことない」って。やっぱり女は割りきるな〜。で、グレーゲルスから何を言われたか尋ねると、「お前があの家で働いてる間、グレーゲルスの父親との間に何かあったって」って言うけど、否定するギーナ。
ギーナはヴェルレにしつこく追い回されたけど、何も無かったと。でも、グレーゲルスの母親に誤解されて、酷い仕打ちを受けてあの家を辞めたと。
その後、グレーゲルスの母親が死んだけど、ギーナの母親は「奥さまは死んだ、ご主人様は一人身よ」とヴェルレを諦めなかったって言います。

ヤルマールはなんで話さなかったんだ!って聞きますが、ギーナはもうヤルマールのことを好きになってたので、言えなかったと。
それでも、プライドだけは高いヤルマールは怒りだすので、ギーナは「あなたは私がいなかったら自分がどうなってたか、想像したことはあるの?」って。
「私と一緒になって、ヘドヴィクも生まれて、あなたは変わった。家と家族を手に入れて、いい人になった。そして、ささやかだけど、こんなにも幸せに暮らしてる」って言うけど、そんな声もヤルマールには届かず「この家は嘘と偽りの上に出来上がった家なんだ」と。

ギーナは「あいつ、なんだってこの家に!!」ってグレーゲルスに文句を言うけど、ヤルマールは「ギーナ、この家を壊したのは、お前の過去だぞ」ってグレーゲルスの肩をもつ…。

そこにグレーゲルスちゃんが「いいかな」って帰ってきて「じゃあ、まだなのか?」ってヤルマールに言うと、「やったよ!!」って叫ぶヤルマール。
グレーゲルスちゃんは「そうか〜!!」って嬉しそうにヤルマールと、ギーナに拍手を。
やっぱりこの時のグレーゲルスちゃん、吉田鋼太郎さんが「ブラボー」言ってるようにしか見えない…(^^;)

グレーゲルスちゃんは何の悪びれた様子も無く「でも、分からないな。2人とも悲しそうだ」って…。
グレーゲルスは「君たちは洗いざらいぶちまけた。今こそ新しい未来が始まるんだ。完全に生まれ変わる新生活。あらゆる嘘偽りから開放された真実の生活が」って、頭のおかしいことを。
ヤルマールは「君は誰もがそう簡単に飲みこめると思ってるのか?この苦しみを」
グレーゲルスは「普通の人間には難しい。でも、君のような男には」って言うところにレリングが登場。
「あんた、また来てたのか?早く帰ってもらえ。でないとこの悪魔は君たち2人を粉々にするぞ」と。
グレーゲルスは「粉々になんてなりませんよ。ヤルマールは勿論、奥さんだってね」ってぬけぬけと。
ホントになら、ギーナの言うとおりそっとしておいてやれば良かったのに。
レリングが「あんた、この家で何しようとしてるんだ?」って私も疑問だったことを聞きます。
ると、グレーゲルスは「僕は真実の婚姻の基礎を作りたい」っておかしなことを。
レリングに「あんたはどれくらい、真実の婚姻とやらを見てきたんだ」って言うと、無責任に「まあ、無いですね」って、
無いんか〜!「でも、その逆は見てきました。そういう婚姻がどれほど人をダメにするか」ってグレーゲルスが言うと、ヤルマールが「それが男の精神をまるごと壊すんだからね。恐ろしいよ」って…。
でも、とりあえずこの時点では、まだヴェルレがギーナを昔追っかけまわしてたけど、まだ手はつけてない…ってことになってるので…一体どこに苦悩するようなことがあるの???って思ってしまうんだけど…。

しかし、レリングが「子供がいる場合はどうなる?」って言った瞬間、凍りつくグレーゲルス。
多分グレーゲルスは母親が死んだのはギーナのせいって思いこんでて、ある程度ギーナに復讐したい気持ちもあって、ヤルマールにチクったと思うんですよね。
でも、自分の大切な妹のヘドヴィクまでは巻き込むつもりじゃないので、そこで初めて自分のしたことの失敗に気付く…。

そこに運悪くギーナと元々友人であったセルビー夫人が来てしまったことで、最悪の事態に。
セルビー夫人もホントは夕方は男性陣はいないと思ってやってきたと。
ヘイダルの山にヴェルレとセルビー夫人は結婚して一緒に住むので、ギーナにお別れに来たと。
レリングは「また結婚するのか?」って、セルビー夫人と一時付き合ってたこともあったらしいレリング。
グレーゲルスは「じゃあ、僕もお祝いすべきだな」って心にもないことを。(しかし、ヴェルレはエクダル老人にしたことは根も葉もないやっかみだったとセルビー夫人にも嘘をついてるのに、そこはスルーなグレーゲルスちゃん)
ホントはギーナに渡したい物があったけど、その場にヤルマールがいたので、渡さなかったっていうのは良かったんだけど、その後、グレーゲルスに「私は決してお父さんのこと見捨てたりはしません!他の人には出来ないようなお世話や看病をするつもりでいます。今にお父様がダメになっても」って、そこでピンと来たグレーゲルスは「ここで言う必要はありません!」ってセルビー夫人を止めるんだけど、「だって、お父さまは直に目が見えなくなるんですよ!」って大きな声で言っちゃって、ヤルマールに聴こえちゃったから、グレーゲルスちゃんは「おお〜い!!!!(><)」ってうなり声を…。

真実を暴かないと気が済まないグレーゲルスちゃんだけど、ヘドヴィクの秘密だけは守りたかったのに…。

気付かないセルビー夫人は「大丈夫!私はお父さんの目になります!」って。で、エクダル老人に仕事のことで何かあったら事務室の会計係を訪れるようにことづてをするけど、グレーゲルスは「そんな申し出はヤルマールが断るよ」と。ヤルマールも「ご主人さまにお伝えください。近いうちに会計係を訪ねて、お父さんから借りた金の総額を書きだしてもらうのさ。俺は払うぞ。この名誉の負債をな!!!名誉の負債か、こいつはいいや、綺麗さっぱり返済するぞ、利息もしっかりつけてな」って、また出来ないくせに口だけヤルマール…。
で、ヤルマールがおかしくなったので、セルビー夫人が帰るけど、自分の思って無い方向に話が行ってしまって焦ったグレーゲルスちゃんは「ねえ、ヤルマール。僕が来て、良かっただろ?」って…。なんでや…??
ヤルマールは「ああ、でも、面白くないことが一つある。真の結婚生活を築いているのは、俺じゃなくて君のお父さんだと思うととても苛立たしいんだ」って。
グレーゲルスは「あの2人と君を比べてはいけない」って言うけど…そこに、ヘドヴィクが帰ってきてしまって、大きな声で「丁度下でセルビー夫人に会ったわ」って。で、ホントはギーナに渡したかったものをこっそりヘドヴィクに渡したのに、ヘドヴィクがヤルマールに「セルビー夫人があたしに何かくれた。多分明日のお祝いだと思う」って言っちゃうので、ヤルマールが「俺をないがしろにする悪巧みか!!」って怒鳴るので、ヘドヴィクがセルビー夫人に貰った手紙をヤルマールに見せてしまいます。
手紙には「ヘドヴィク エクダル様」と、ヴェルレの筆跡で書かれていて。
その手紙にはエクダル老人はこれから記録の仕事をしなくても、生きてる間はずっと毎月100クローネずつお金が貰える。そして、その後はヘドヴィクにそのお金を渡す…って書かれてて、その手紙を読もうにも目が見えなくて紙を近づけたりしてるヘドヴィクに「あの目!!そこへ持ってきて、この手紙!!」
素直に「素敵じゃない。そんなにお金が貰えるなんて」って喜ぶヘドヴィクだけど、ヤルマールは「あいつがこんなに寛大なのはヘドヴィクのためなんだ」って。

ギーナはヘドヴィクに席を外させると、ヤルマールに「ヘドヴィクは俺の子か?それとも」って聞かれて「…知りません」って答えるギーナ。
そこにグレーゲルスちゃんが「ヤルマール、落ち着いてよく考えるんだ。これからじゃないか。犠牲を払った後に許しという素晴らしい感覚を味わうため」ってまたおかしなことを。
ヤルマールは「俺の家庭な無惨に破壊したんだ。グレーゲルス!俺には子供がいないんだ!」ってそこにヘドヴィクがやってくると、ヤルマールはヘドヴィクから逃げようとするけど、ギーナに「この子を見て!」って言われて「無理だ!」って部屋から出ていってしまうヤルマール。(机の上に置いてあった、ハンチングはちゃんと握って出て行きました)

「行ってしまった。もう帰ってこないわ…」って泣きだすヘドヴィク。
グレーゲルスちゃんは「僕はただ、良かれと思って話しただけなんだ」と言い訳。
ギーナに「酷い人です!あなたは」って言われる。
泣きながら「お父さんを連れ戻してきて」って言われるギーナが席を外します。

そしてギーナがヤルマールを探しに行って、部屋にはヘドヴィクとグレーゲルスの2人きりに。
ヘドヴィクが「どういうことなんですか?」って尋ねると「君が大人なるまで聞かない方がいい」って言うグレーゲルス。
でも、勘のいいヘドヴィクは「あたし、お父さんの本当の子じゃないんですよね?お母さんがあたしを拾ってきて、今になってお父さんがそのことに気付いた。そんなお話、何かで読んだことがあります。だとしたらお父さん、もっとあたしを可愛がってくれてもいいのに。あの野鴨だって、知らないところからやってきたけど、やっぱりあたし、可愛くてしょうがないんですけど」
で、グレーゲルスちゃんが「野鴨の話を少ししよう。ヘドヴィク」とヘドヴィクをなだめようとします。
ヘドヴィクが「可哀想な野鴨。お父さんはあの子を絞め殺したいんです」って言ってしまった。
ヘドヴィクは毎晩神様に野鴨とお父さんの無事をお祈りしてるって話を。
そこで、グレーゲルスは「君がそんなに可愛がってる野鴨をさ、お父さんは絞め殺したいんだね?」って。


「で、どうだろう?もし君が、お父さんのためにさ、自分から進んであの野鴨を犠牲にしたとしたら…」って、ヘドヴィクの後ろから手を回して、ヘドヴィクを藤ヶ谷ゾーンに入れて洗脳を…。
ヘドヴィクも「野鴨を犠牲に…?」
「お父さんのために、この世で君が持ってる一番の宝物を神様に捧げたら、お父さんはどうなるだろう?」って、洗脳しまくるグレーゲルスちゃん。
ヘドヴィクも「お父さんのために…神様に捧げる…」って洗脳されちゃってる。
グレーゲルスは「それだけの勇気はあるのかい?」って悪魔〜v
ヘドヴィクは「ええ。おじいちゃんに頼んで撃ってもらうわ」
そして、グレーゲルスちゃんは「こんなこと、お母さんに喋るんじゃないよ。お母さんに僕らの気持ちは分からない」って…なんか、いたいけな子供に虐待する大人が最後に言いそうな台詞を…(^^;)それがめっちゃガーヤに似合う…。

【3日目:エクダル家/朝】

 

そして、暗転があって、グレーゲルスがやってきて、3日目のエクダル家の朝の食卓。
ヘドヴィクが「やっぱりレリング先生のところにいるみたい」って。父親はレリングのところに転がり込んでることが判明。
エクダル老人がヤルマールはいないのか?ってギーナに尋ねるけど、出ていったことは隠すギーナ。
エクダル老人は今朝は一人で散歩するかって、2階の納屋に。

グレーゲルスちゃんは3日目はネクタイは外して、ジャケットも脱いでて、白シャツにベストを着ただけの格好で、食卓へ。(っていうかあれだけのことを起こして、ずっとエクダル家にいる精神が…^^;;)
「一人になって、真剣に考えなくちゃいけない時に〜」って文句を言うグレーゲルスちゃん。
レリングがそこに来て、ヘドヴィクに「今は悪魔になってるお父さんを見張ってなくちゃいけない」って言います。
今はヤルマールは眠ってるって言うレリングに「無理もないさ、あんなにも精神を消耗した後じゃね」って言うグレーゲルスちゃん。
お前が消耗させたのに、どのツラ下げて…??

更に「どうしてヤルマールのような人間があんな目に〜」って言うグレーゲルスちゃん…。
レリングは「あんたはヤルマールが嘘偽りを嫌う潔癖な男だと思ってるかもしれないが、それはあんたがヤルマールを勝手にそう見てるだけだ」って。
「あんたの知ってるヤルマールは親父さんの事件が起こる前のヤルマールだ」「あんたはかつてのヤルマールを偶像化してるだけだ」とズバリ。
でも、「僕はそんなにめくらじゃない」ってグレーゲルスちゃん。
ヤルマールはグレーゲルスを「厄介な正義熱」「他人を自分のイメージどおりの英雄にして崇拝しないと気が済まない。それが上手くいかないとその相手にしつこくつきまとう」と、分析。
グレーゲルスちゃんは「僕は自分より優れた人間を探したいだけさ!!」って反論するけど、ヤルマールは「自分の近くに英雄がいると思い込んでること。それがとんでもない失敗を繰り返す。今度もそうじゃないか」

グレーゲルスが理想の要求をひっさげて貧乏人の家を回っても、そんなことに応じられる人間はいないのに…と。でも、まだ勘違いしてるグレーゲルスちゃんは「ヤルマールをその程度の人間にしか思ってないのなら、先生は彼と付き合ってても面白いことなんかないでしょう」って。
やっぱグレーゲルスもギーナも、あんなクズ男のことをかいかぶってる…。

レリングは「人生の嘘」という注射をヤルマールに打ってると。
舞台では出てこないけど、「理想」という言葉を一番端的に表したノルウェー語が「嘘」なんだそう。

レリングはエクダル老人について、自分で人生の嘘っていう注射を打って、あの小さな狩猟場をうろついてるじいさんほど幸せな狩人は他にいないと。

グレーゲルスは「エクダル中尉は今も若い頃の理想と折り合いをつけている」って、エクダル老人のこともかいかぶってるんですけど…。

レリングは「理想というきどった言葉は使わないでくれないか?『嘘』という便利な言葉があるんで」と。

そこにヘドヴィクがやってきて、レリングはお父さんの様子をみてくるよって出ていきます。
で、グレーゲルスとヘドヴィクが2人っきりに。

悪魔のグレーゲルスは「その顔つきじゃ、まだ何もしてないんだね」って。
ヘドヴィクは一晩経って洗脳が解けて「ゆうべは素敵な考えだと思ったけど、一晩経ったらそれほどいい考えじゃないと思えてきて」と…やっと冷静になっ
たのに。
グレーゲルスが「ああ、残念だ!!お父さんがこの家に帰ってくるまでに何を犠牲にしなくちゃいけないのか、それが君に理解できないなんて」って逆ギレ…やっぱ悪魔。
最後にグレーゲルスは「
でも、僕はまだ君を信じてるよvヘドヴィクvv」ってめっちゃ可愛い声で…。悪魔の囁きだ…。
まさにサイコパス…。

部屋に残されたヘドヴィクですが、そこに2階からエクダルが降りてきて、野鴨を撃つのは難しいか、どうやって撃つのか聞きます。
エクダル老人は「胸を撃つんだ。」と。
で、エクダル老人が自分の部屋に帰ると、今度はヤルマールが帰ってきます。
ヘドヴィクは「お父さん!帰ってきてくれたのね」って抱きつこうとするけど、「来るな!」と怒鳴るヤルマール。
ヤルマールは「もう、こいつの目を二度と見ることは無い!」って酷いことを言って、部屋を出ていきます。

そのヤルマールの酷いトドメの一言で、壊れてしまったヘドヴィク。

そこで、音楽が鳴って、この舞台で初めて二階の扉が開きます。
二階には植物が沢山あって、森みたいになっているのですが、階段を上がって二階に行き、ピストルを手に取るヘドヴィク。
その時、凄いキーンっていう大きな音がするので、黒板をひっかいたような音が耐えられない人はキツいと思います…。
で、ヘドヴィクはその森の中に入って姿が見えなくなってしまいます。

【3日目:エクダル家/二階の納屋】

ギーナが居間に行くと、髪がボサボサのヤルマールが帰ってきて、荷物整理を。
「こんな家になんかいられるものか?」って鞄にどうでもいい本とかを詰めてます。(しかし、そこで、ヤルマールはヴェルレがヘドヴィクに宛てた手紙を自分の胸ポケットにしまいます)ギーナは「お父さんは?」って聞くと「親父は俺と一緒に来ればいいんだ」って、またお父さんの面倒なんか看れないくせに、ホントに口だけ男…。

そして、あんなにお世話になったレリングの悪口まで言う、ホントにどうしようもないクズ男。

ギーナが「温かい物を持ってきたんだけど」ってパンとコーヒーとかを用意すると、「この家では食いたくないね」ってお腹が減ってるのに、やっぱ口だけ男。

ギーナは「コーヒー、冷めるわよ」って言って、珈琲をすすめて、家の中の1部屋を一人にするからしばらくそこを使えば?と。
で、部屋から出て、ヤルマールを一人にするギーナ。

ギーナがいなくなると、パンを食べて「うまっ」って言うヤルマール。(最初は「うまっ」だったけど、それが途中から「うまいっ」に代わりましたね)
で、パンを食べたり、珈琲を飲んだりしてるうちに気持ちが少し落ち着いた頃、ギーナがヤルマールの大好きなバターを持ってくる。
「バター無しでもパンは食える」って強がりいうけど、「出来立てで新鮮よ」って言われて、バターを使うヤルマール。
やっぱ男って子供で、女の方がいつの時代も強くて現実的だな〜と。
で、ヤルマールが「どうだろう?誰にも邪魔されずにその部屋にいられるなら」って、ギーナの案に乗っかってきます。
っていうか、最初から出ていくなんて無理なのに。

で、ヤルマールは胸ポケットの手紙を出して、「俺には何の用も無い手紙だ」「これをどうするかは親父次第だな。親父が決めるしかない」って言って、ギーナと抱き合います。
(でも…多分ギーナにこんな包容力がなくて、和解できなくてお父さんと出ていくことになってたら、多分この手紙に書いてあるお金を今後当てにするつもりで、ヤルマールは自分のポッケに一度はしまったんじゃないかって私は思っている。そう考えると心の底からクズ野郎だ…)

そこに帰ってくるグレーゲルスちゃん(ノーネクタイでジャケット無しでコートを着てます)は2人が抱き合ってるのを見て、嬉しそう。(ホントにこうなるとグレーゲルスちゃん、何をしたかったのか、マジで分からない…。最初はギーナへのお母さんの恨みをはらすつもりもあっての告げ口だと思うんだけど、やっぱりヘドヴィクが可哀想だから元通りに戻ってほしいって思っちゃってる…)

グレーゲルスは「どうするつもりだ?」ってヤルマールに聞くと、ヤルマールはまだプライドが高いので、「今、大事なものをまとめているところなんだけど、それには時間がかかる」って一度振り上げた拳を下すところを友人に見せたくないって思ってるのか…。

グレーゲルスちゃんは「こんなことになるなんて、出ていくのか?」って…。いやいや、あんたが帰ってこなかったらまとまってるよ…。
グレーゲルスがヤルマールに君には発明もあるだろう?って言うと、そこでようやくヤルマールはホントのことを。大抵のものは他の奴が発明してると。
「でも、その発明は、俺を心の底から幸せにしてくれたよ。発明そのものじゃない、努力する俺をヘドヴィクが信じたんだから」って。
ヤルマールは「俺はヘドヴィクを愛してる。そして勝手に思い込んでた。ヘドヴィクも俺を愛してるんだってね」と。
グレーゲルスは「どうしてあの子の愛を疑うんだ?」って言うと、ヤルマールは「俺の心には恐ろしい疑いしか無いんだ。あの子が俺を愛したことなんて、一度も無いんじゃないかっていう疑いしか」

そこに鴨の鳴き声が聞こえて、グレーゲルスはヘドヴィクが決心したんだと思い、(そこでグレーゲルスが機転を利かせて、ヤルマールと共にすぐに二階に向かえば良かったのに…)「ヤルマール、いいか?ヘドヴィクは決して君から離れたりしないよ」って言うけど、ヤルマールはヴェルレが手にいっぱいの財産を持ってきて写真屋の父親を捨てなさいって言ったら、自分は、ヘドヴィク、お父さんのために幸せな生活を諦めてくれないか?って言うだろうって言って自嘲して、「グレーゲルス!理想の要求ってやつをあてにしちゃあいけない!」ってようやくここでマトモなことを。

その言葉に手をついて崩れるグレーゲルスちゃん。

その瞬間、銃声が…。

ヤルマールに「あれがなんだか分かってるのか?」って言うグレーゲルス。
「いいか?ヘドヴィクは君のために野鴨を撃ってもらったんだよ」
「ヘドヴィクは自分が持ってる一番の宝物を君のために捧げたかったんだ。そうすれば、また君が自分を可愛がってくれるだろうって。ヘドヴィクは君の愛が欲しいんだよ。じゃないとあの子は生きていけない」って言うグレーゲルス。
でも、エクダル老人が(なぜか軍服を着て)部屋から出てきて、ヘドヴィクは一緒じゃないと聞き、ヘドヴィクが一人で野鴨を撃ったんだ…と慌てて、二階にかけあがるギーナとヤルマール。
しかし、撃たれたはずの野鴨の羽音が聴こえ、グレーゲルスも慌てて二階に駆け上がると、ギーナが「レリング先生!!」って階段を降り、ヤルマールもヘドヴィクをおぶって二階から降り、グレーゲルスも二階から降ります。

ヤルマールとグレーゲルスで、ヘドヴィクをソファーに寝かして(その時、ヤルマールの鞄をソファーの後ろにどかすのもグレーゲルス)、ギーナがレリングを呼びに行きます。グレーゲルスはその後、壁にもたれかかって茫然としています。
それを見てエクダル老人は「森が復讐する」って言いながら、二階にあがります。
「森が復讐する!だが、俺は怖くないぞ〜!!」って叫んで、森の中に消えるエクダル老人。

ヘドヴィクは傷口から血を出さずに倒れていたそう。
「あたしの子供」って泣き崩れるギーナと、「この子は生き続けなくちゃいけない!俺がどんなに愛してるか伝えなくちゃいけないんだ」って、今さら遅いことを言うヤルマール。
血が出てないのは「弾が心臓をぶち抜いてる。即死だ」とレリングが。
その瞬間「うなぞこで…」って、壁に崩れるグレーゲルス。

なんでそこで「うなぞこで」って言ったかについてですが、多分海の底まで落ちた野鴨は死の世界の入口まで行ったから、死んだということはヘドヴィクは「うなぞこに沈んだ」って言う意味と、犬になりたいって言ったのに、自分はうなぞこからヘドヴィクをひっぱりあげられなかったっていう意味と、あとはヘドヴィクと「うなぞこ」について笑いあってたのがグレーゲルスにとっては楽しい思い出だったから…っていうのもあってのこの言葉なんじゃないかな〜と私は思うんですけど。

泣き叫ぶギーナと、天に指を差して、「お前!お前はどうして俺をこんな目に遭わせるんだ?」って神様に文句を言うヤルマール。
(いや、そのお前はグレーゲルスと、あんた自身でしょ…)

で、レリングはヘドヴィクの持ってるピストルを指からはずそうとするんですけど、死後硬直でピストルが離れないので、ギーナが「指が折れてしまうので、そのままに」って。
一旦レリングの部屋に運ぶことに。
ヤルマールが「ギーナ、お前はこんなことに耐えられるか?」って…。一番辛いのはギーナなのに。
でも、やっぱ女は強い。「ヤルマール、助け合うの。あたしたちの子供なんだから」って、凄いのはギーナはまだヤルマールと今後も人生を共にする覚悟なんだよね…。

で、ヘドヴィクが運び出されるのをフラフラついていくグレーゲルスちゃんですが、さすがにギーナに来るなってどつかれます。
そこ
で、グレーゲルスちゃんがギーナにぶたれるんじゃないかってお父さん相手みたいに怯えて受け身のポーズとってるのが可愛い…v

でも、ギーナはそのまま運び出されるヘドヴィクと一緒に出ていきます。
部屋にはグレーゲルスとレリングが2人っきりに。
レリングが「服が火薬で焦げているんだ。ピストルをぴったり胸に当てて、自分で引き金を引いた!」ってグレーゲルスの胸倉を掴んで言ってる時、ガーヤの顔がエロいvvv(しかも泣いてるガーヤ)

「君の言ってることが正しくて、僕が間違ってるとすれば、人生なんて、もう生きる価値が無いね」とグレーゲルス。
「そうでもないさ、あの理想の要求なんてもんを押し売りしてくるお節介野郎が、俺達貧乏人をそっとしておいてくれればね」ってレリングに言われ、「そうなったら僕は自分の使命がはっきりして嬉しいよ」と。
レリングに「失敬ですが、それはどんな使命ですか?」って聞かれ、
「それは、テーブルの13番目につくってことさ」ってグレーゲルス。

「くそったれ!!!」ってレリングは部屋を去っていきますが、このテーブルの13番目につくって意味は、話の流れからだと、人生は生きる価値が無いってことなので、自分が死ぬってことだと思うんだけど、パンフにかかれてるとおり、自分の理想の要求のためならば、人を不幸にしてもかまわないっていう意味にも取れるなあ〜と。だからレリングは「くそったれ」と言ったのかとも。
でも、一応この話は普通に前者の意味みたいで、なぜか、自分がソファーの後ろにどかしたヤルマールの鞄からピストルを発見し、(ここも最後まで分かんなかったところなのよ…。この家には話の流れからピストルは1個しか無いはずで、ヘドヴィクが使ったピストルは死後硬直したヘドヴィクの手から落ちたりもしないで、そのまま部屋から運び出されたのに、なぜそこにあった??)
そのピストルで自分を撃とうとするのですが…なぜか野鴨の羽根の音が大きく響いて…。その音にグレーゲルスが驚いて二階の方に目を向けると、今度は海底のような水の音も一緒に…。そこで暗転して終わり。

カーテンコール

【一回目】
そして、明かりがついてカーテンコールなんですが、しばらくグレーゲルスちゃんのまま、ピストルを持って、二階の納屋の方を見てるガーヤが…。
そこからゆっくりグレーゲルスちゃんからガーヤに戻るっていう演出が秀逸ですね〜。
で、舞台の中央に。左右からキャストが全員登場して横一列に。

並びは…

村上さん(ペテルセン)、山森さん(モルヴィク)、伊達さん(レリング)、大鷹さん(ヴェルレ)、忍成さん(ヤルマール)、ガーヤ、浅野さん(エクダル老人)、前田さん(ギーナ)、八幡さん(ヘドヴィク)、吉野さん(セルビー)、齋藤さん(イエンセン)…の順。

みんなでお辞儀をして、そのままガーヤは下手に引っ込みます。

【二回目】
一回目はネクタイなしで、ジャケット無しで、上にコートを羽織った姿でしたが、二回目の下手から出てきた時は、黒ジャケット、黒ネクタイも一瞬でつけて登場。

で、全員で一列に並びお辞儀して、また下手へ引っ込むガーヤ。

【三回目】
二回目と同じように下手から出てきて、お辞儀します。

一列に並び、お辞儀し、ここから引っ込む時に下手でガーヤが両手をお膝につけて深いお辞儀をしてから、再度小さく頭下げて引っ込むのの繰り返しでした。


で、ここで、場内アナウンスが流れますが、まだこの時点ではみんなガーヤの挨拶があると思って、鳴りやまない拍手。

【四回目】
三回目と同じですが、ステージセンターでお辞儀する時、ガーヤは生声で「ありがとうございました!」って言ってましたが、やっぱり挨拶はありませんでした。(この時、お客はスタオベを。この時点ではまだ定まってない…)

でも、ここでお客ももう初日は座長挨拶は無いんだ…って結構すぐに察して(初日はかなり物分りのいいガヤ担が揃った^^;)、4回目の後、場内アナウンスに従って、大人しく帰りました。(でも、大千穐楽まで無いなんて、まさか思わなかったけど^^;;)

【規制退場】
兵庫は無かったんですけど、世田谷はあんなちっさな会場なのに、規制退場がありました。
しかも1列ずつの退場っていう…。

舞台の感想

最初、私は凄い難しい話なのかな〜って思っていたのですけど、初日に観た時も、現代にめっちゃ通じる物もあるし、すごく分かりやすい話だと思いました。

そして、最初はガーヤの髪型やつけモミアゲにビックリしたのですけど、でも、それでも観てると、どうしてもグレーゲルスちゃんが可愛く思えてきちゃう。

多分グレーゲルスちゃんはお母さんに散々浮気してる父親の悪口を吹きこまれた子供のまま、全く成長してないんですよ。だから清廉潔白で純粋なままなんだと…。
(お母さんに吹き込まれてるお父さんの悪口も、相当お母さんの脚色が混ざってるようにも感じますけど…^^;)

なので、私にはグレーゲルスちゃんはそんなに悪い人に思えないし、ガーヤはグレーゲルスみたいな奴は大嫌いって言ってるけど…、グレーゲルスちゃんは親の財産をあてにしないし、自分で労働者に混ざって汗水働いたお金をしっかり貯金したりするし、子供と老人には優しいし、金持ちなのに貧乏人を見下したりもしないし、嘘が嫌いって言うわりには、自分の妹のヘドヴィクの出生の秘密だけは守ろうとした…。
正直何がしたいんだか理解には苦しむけど、(多分お母さんから聞かされてきた父親の愛人ギーナが自分のヒーローであるヤルマールとよろしくやってるのが許せないっていう気持ちが強かった…っていう、個人的な恨みもあったとは思うけど)グレーゲルスちゃんは悪い人じゃないっていうのが私の感想で、「そし僕」とかよりも後味は私には悪くなかった…。(ただ、ヘドヴィクは死んじゃうので、そこは可哀想すぎるけど)

グレーゲルスよりももっと嫌な奴はヤルマールですよ…。もうホントにこいつはクズすぎる。

ヤルマールのクズなところ@
家計を圧迫してるのはバター、ビール、ソーセージの全てヤルマールの嗜好品。
母娘は節約しながら生活してるのに、突然家族にキレてビールを出させたり、バターが大好物で常にたっぷり使う。

ヤルマールのクズなところA
家庭内ではモラハラするけど、友人や外の人間に対して外面だけは良い。
妻に話もなく、いきなり友人や下宿人を呼んで昼食会を開くと言って、家計が苦しいのに「ケチケチすんなよ」って、ご飯は時間になったら勝手に出てくるものだと思ってる。

ヤルマールのクズなところB
仕事をしないで妻や娘にやらせる。仕事をしろと言われるとキレる。
夕方前に撮影の仕事が入ってるって言うと、「夕方前は俺の昼寝の時間じゃないか!」って怒鳴る。
自分は仕事をしないくせに仕事が入らないと、嫁に「ギーナ、もっと努力しないと!」って怒鳴る。

ヤルマールのクズなところC
何もやってないうえ、考えてもいないのに、自分の発明がモノになったら…って、自分は努力していると空想で思い込んでる。(でも、ホントは発明なんて無理だってことも分かっている)
「自分の使命」って口だけは大きいことを言うけど、実際何にもしていない。

ヤルマールのクズなところD
目の悪い娘に自分の仕事を手伝わせて、娘に「目を悪くしてもお父さんのせいじゃないんだからな。自分のせいなんだぞ」って、責任転嫁。人として…。

ヤルマールのクズなところE
目を悪くするから、勉強は自分で教える…って、娘に学校をやめさせるも、結局勉強教えるのも面倒くさくてやらずに、下宿人に丸投げ。(有言不実行)

ヤルマールのクズなところF
娘にパーティの残り物を持ってくるとか、娘の誕生日のお祝いの話とか、約束するけど、口だけで実行しない。

他にも親父の面倒は全部俺がみる…って言って偉そうにプライドを保ってるけど、実際はヤルマールは仕事してないし、エクダル老人の食費は老人が自分で稼いだ簡単なバイト代から出てるし、やっぱ口だけ男。

ホントにヤルマールが無理…。
でも、こういう男、今の日本にもた〜くさんいるよね…。
ヤルマールほど極端じゃなくても、こういう性格…大抵の男は当てはまると思う。
これはホントにこの話が現代にも通じるところですよね…。

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